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受電設備試験の概要
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340-2 代表的な試験の概要

代表的な試験として「交流絶縁耐力試験」、「保護継電器試験(過電流継電器)」「保護継電器試験(地絡方向継電器)」の概要を次に示す。
  1. 交流絶縁耐力試験


    (判定基準)

    試験電圧(または常規対地電圧)を連続10分間印加後、絶縁抵抗測定を行い絶縁抵抗値に異常がないこと。

    (注意事項)

    a. 最大使用電圧の考え方は、次のとおりである。
    普通の運転状態でその回路に加わる線間電圧の最大値をいい、事故時その他の異常電圧をいうのではないが、軽負荷運転または無負荷運転の場合の電圧変動を考慮に入れて最大使用電圧を定めなければならない。したがって、計算上あるいは実績から公称電圧の1.15/1.1倍を上回る電圧であることが明らかな場合は、これを持って最大電圧としなければならないが、一般には公称電圧の1.15/1.1倍を上回ることはまれである。

    b. 試験器には高電圧が発生して危険である。結線に誤りのないようにするとともに、高圧ゴム手袋等必要な防保護具を使用すること。

  2. 保護装置試験(過電流継電器)
    @試験回路

    A動作電流特性試験

    (限時要素)a. 継電器動作時間目盛りを1にして実施する。
            b. 電流を徐々に増加し、継電器、遮断器の動作時の電流を測定する。
     [注]最小動作電流は始動電流と混同されやすいが、これらの意味は次のとおりである。
    • 最小動作電流:OCRの円盤が回転し、主接点が完全に閉じる最小動作電流
    • 始動電流   :OCRの円盤が動き始める電流
    (瞬時要素)a. 限時要素が動作しないようロックして、電流をすばやく増加させ、動作電流値を読み取る。


    B動作時間特性試験

    (限時要素)a. 動作時間目盛り10と整定目盛について行う。
            b. 整定値の300%(700%)の電流を急激に加えたときの、動作時間を測定する
            c. 表示装置(ターゲット等)の動作を確認する。 
    (瞬時要素)a. 最小動作電流値とする。
            b. 整定値の200%の電流を急激に加え動作時間を測定する。

    C判定値
     判定参考値を340-2表に示す。

    D注意事項

    a. 竣工時などの無電圧状態と定期点検における自己電源での試験では、接点の取り方などが異なるので注意すること。自己電源で試験を行う場合は、活線近接作業となりがちであり、誤って試験回路を充電するおそれがあるので適切な防保護具類を使用すること。

    b. 自己電源などの試験においてはCTの磁気飽和による異常電圧発生を防ぐため、CT二次側の配線を短絡すること。

    c. 遮断器のトリップコイルが動作しても遮断器が開放されない場合は、機器損傷等のおそれがあるので、速やかに試験電流の通電を停止すること。

  3. 保護装置試験(地絡方向継電器)

    @試験回路


    A動作電流値試験
     試験電圧を整定値の150%印加した状態で製造者の明示する位相角を整定し、試験電流を徐々に増加して継電装置が動作したときの電流値を測定する。

    B動作電圧値試験
     試験電流を整定値の150%流した状態で製造者の明示する位相角を整定し、試験電圧を徐々に増加して継電装置が動作したときの電圧値を測定する。

    C動作時間試験
     試験電圧を整定値の150%に印加した状態で、電圧と動作位相で電流を130%(400%)に設定し、それぞれ同時に急激に通電して、動作時間を測定する。

    D位相特性試験
     試験電流を整定値の1000%、試験電圧を整定値の150%とし、不動作域から動作域へ位相を変化させたとき、継電装置が動作する範囲の位相角を測定する。

    E慣性特性試験
     試験電圧を整定値の150%、試験電流を整定値の400%、位相角を最大感度角として、継電器の動作時間を測定する。

    F判定値
     判定参考値を340-2表に示す。

    G注意事項
     試験前には電源用VTおよびZPD用ヒューズを抜きそれぞれの回路の極性を確認する。

    340-2表 保護装置試験の判定基準の一例(高圧受電用)
    判定基準 関連する遮断器、故障表示等、警報装置、遮断器の開閉装置等が正常に動作すること。
    地絡継電装置 地絡方向継電装置 過電流継電器
    準拠JIS JIS C 4601 JIS C 4609 JIS C 4602
    動作電圧特性 - 整定値±25%以内で動作 -
    動作電流特性 整定値±10%以内で動作 整定値±10%以内で動作 限時要素:
    整定値±10%以内で動作
    瞬時要素:
    整定値±15%以内で動作
    位相特性 - 製造者の明示する範囲内動作 -
    動作時間特性単体 整定値の130%で0.1〜0.3秒以内で動作 整定値の130%で0.1〜0.3秒以内で動作 限時要素:
    t/T-N/10≦0.17(0.12)で動作
    t=整定値の300%(700%)
    動作時間
    T=公称動作時間(動作時間制定目盛位置N)
    整定値の400%で0.1〜0.2秒以内で動作 整定値の400%で0.1〜0.2秒以内で動作
    慣性特性 整定値の400%の電流を急激に0.05秒の間通電して動作しない(不動作) 整定値の400%の電流を急激に0.05秒の間通電して動作しない(不動作) -

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